陸上の世界選手権で議論を呼んだ、同性愛を公の場で宣伝する行為を禁じたロシアの「同性愛宣伝禁止法」が、サッカー界にも波紋を広げている。
同法は未成年者を対象に同性愛の宣伝などを禁じるもので、6月にプーチン大統領が署名して成立。国際オリンピック委員会(IOC)や欧米メディアから差別的だと批判の声があがるとともに、世界陸上の期間中に市民グループなどが化粧をしているように加筆したプーチン大統領の写真を掲げるなどして抗議活動を行っていた。
これを受け、2018年にワールドカップ(W杯)ロシア大会を控える国際サッカー連盟(FIFA)も、同法の趣旨や適用範囲などの詳細について、ロシアの当局に説明を求めたことを明らかにした。
というのも、FIFAは自らの憲章や行動規範で、いかなる差別についても反対し、そういう行為があった場合には厳しく取り締まることを唱っているからだ。その中には、人種差別や男女差別などとともに、性的性向による差別も含まれるとしている。
FIFAは公式ホームページで「性的性向に関わりなく、すべてのファンや選手に素晴らしいW杯を体験してもらいたい。(開催地に決まった際に)ロシアがすべてのファンを歓迎し、安全を守ると約束してくれたことを信じている」との声明を出した。しかし、その言動には矛盾がある。
同性愛問題は、18年のロシア大会に限ったことでなく、22年のカタール大会でも指摘されているからだ。
英BBC放送(電子版)などによると、カタールなどの中東諸国では同性愛は違法とされており、22年大会の開催地がカタールに決まった直後に、「同性愛者のファンがカタールのW杯を観戦するにはどうしたらいいのか?」と尋ねられたFIFAのブラッター会長は「(カタールに滞在中は)セックスを自粛すべき」と発言。市民グループなどから顰蹙(ひんしゅく)を買って謝罪した同会長だが、再びことし6月にカタール大会の同性愛問題について「(同性愛を許容するかどうかは)差別の問題ではなく、倫理やモラルの問題だろう」とカタールを擁護するようなコメントを発したことが報じられた。
IOCの批判を後追いするようにロシアの「同性愛宣伝禁止法」を問題視する一方で、同性愛そのものが違法となっているカタールについては厳しく言及しない。明らかに“ぶれている”としかいいようがないが、あまり旗幟(きし)を鮮明にすると、同性愛を禁じている国々から反発を招くおそれがある。スポンサー収入などにも影響するかもしれない。FIFAは頭の痛い問題を抱えている
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